レゾナックが半導体材料で稼ぐ理由と、一本足の利益構造に潜む注視点

レゾナックが半導体材料で稼ぐ理由と、一本足の利益構造に潜む注視点

ニュースの概要

素材大手のレゾナックが、AI向け半導体の材料事業で全社利益の大半を稼ぐ体質に変わったという分析記事が話題になっている。かつては景気の波を受けやすい化学品や素材の事業を多く抱えていた会社が、データセンター向け半導体の需要拡大を追い風に、高い収益を出す企業へ姿を変えた。記事は、その理由とあわせて、今後どこに目を向けるべきかを論じている。一つの事業に利益が集まる状況は強みであると同時に、需要の変化に左右されやすい弱みでもある。本稿ではこの変化を、日本の部素材企業の勝ち方という視点から読み解く。

引用元: 全社利益のほぼ全てを叩き出す! レゾナックが「AI半導体材料」で高収益企業へ急変貌した理由に見る「今後の注視点」(Yahoo!ニュース)

分析・見解

利益が一つの事業に集まった理由は、AI半導体の「組み立て工程」にある

AI向けの半導体は、設計や回路の微細化だけで性能が決まる時代を過ぎた。複数のチップを重ねたり、隣り合わせに並べたりして一つの部品にまとめる「後工程(=チップを積んで包み、配線でつなぐ工程)」の出来が、性能と良品率を左右する。ここで使う絶縁材料、接着フィルム、封止材(=チップを守る樹脂)は、わずかな品質差で製品全体が不良になりかねない。だから顧客は価格よりも品質を優先する。レゾナックの利益が急に厚くなった背景には、この「失敗が許されない材料」を握っている事情がある。

合併で手に入れた「顧客との距離」が差を生んだ

同社は2020年に昭和電工が日立化成を買収し、2023年に社名をレゾナックへ改めた。旧日立化成は、半導体メーカーと共同で材料を開発する関係を長く築いてきた。材料会社は製品を売るだけでなく、顧客の工程に合わせて配合を作り込む。その積み重ねが、他社が簡単に置き換えられない地位になる。化学大手の合併は、重複事業の整理だけで終わる例が多い。今回は、持っている資産のうち何を伸ばすかを絞り込んだ点が違う。

利益の集中は強みであり、同時に最大の注視点でもある

全社利益のほぼ全てを一つの分野が支える形は、裏返せば、AI投資の勢い次第で業績が大きく揺れるということだ。似た例は過去にもある。スマートフォン向け部品で急成長した企業が、需要の一巡で一気に利益を落とす場面を、日本の電子部品業界は何度も見てきた。見るべき点は三つある。AI向け設備投資が続くかどうか。顧客が材料の調達先を切り替えたり、自社で作ったりする動きが出るかどうか。そして、利益の薄い汎用事業の収益改善が進むかどうかである。

日本の部素材企業に共通する「見えない場所で勝つ」型

完成品の知名度は低くても、一つの材料で世界的な地位を持つ企業は日本に多い。派手な最終製品ではなく、供給が止まれば産業全体が困る場所を押さえているのが特徴だ。AIブームの勝者は、チップを設計する会社だけではない。その周辺で長年技術を磨いた素材企業にも、利益が流れ込む。この構図は、ニッチな分野で世界を狙う中堅企業にとっても示唆が大きい。

ビジネスへの影響

自社の「替えがきかない工程」はどこかを棚卸しする

レゾナックの変化が教えるのは、規模の大きさよりも、顧客の工程のどこに食い込んでいるかが利益を決めるという点だ。自社の製品やサービスが、顧客の品質や良品率にどれだけ影響するかを書き出してみたい。影響が大きいほど、価格交渉で強くなる。単なる納入先の一つにとどまっているなら、ブームの恩恵は薄い。まず上位五社の顧客について、自社が果たしている役割を整理することを勧める。

一本足にならないための手当てを先に打つ

好調な分野に力を寄せるのは正しい判断だ。ただし二つの備えが要る。一つは、売上や利益のうち何割を特定の顧客群に頼っているかを定期的に確認し、上限の目安を決めておくこと。もう一つは、好況期の利益を次の柱になる研究や設備に回す仕組みを作ることだ。事業承継や売却を考える中堅企業にとって、強い事業を持つ会社は買い手から評価されやすい。一方で依存度の高さは、価格を下げる要因にもなる。譲渡や提携を考えるなら、依存の度合いとその対策を早めに説明できる形にしておきたい。

取引先の動向を読むために見ておく三つの指標

決算資料では、半導体大手の設備投資計画、データセンターの新設状況、素材企業自身の受注見通しの三つを追うと、需要の変化を早くつかめる。毎四半期に同じ項目を並べて見るだけでも、変調の兆しに気づきやすくなる。

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