ニュースの概要
アジアを中心にEC支援やデジタルマーケティング基盤を提供するAnyMind Groupが、米Meta Platformsとライブコマース分野で提携し、連携を始めました。企業やブランドがライブ配信で商品を紹介し、そのまま販売につなげる取り組みを支援する内容です。ソーシャルメディア上で商品を知り、購入に至るまでの流れを広げることがねらいとされています。越境ECやデジタル広告の運用を手がける同社にとって、巨大なSNSの運営企業と手を組むことは、顧客企業に提供できる価値を広げる動きといえます。配信の企画から在庫管理、物流、決済までを一気通貫で支える体制を、より大きな舞台で展開できる可能性があります。
引用元: AnyMind Group、米Metaとライブコマース分野で提携(Kabutan)
分析・見解
動画で売る流れが、アジアでは先に定着していた
ライブコマース(=生配信を見ながら商品を買える販売手法)は、中国で先に広まりました。2010年代後半から、人気配信者が数時間で数十億円を売り上げる例が相次ぎました。東南アジアでも、動画投稿アプリやSNS内の買い物機能が急速に伸びています。
一方、日本や欧米では「見て楽しむ」と「買う」が別の行動のまま残ってきました。配信を見て、別のアプリを開き、商品を探し直す。この手間が購入前の離脱を生んでいました。
提携の本質は配信の技術ではなく、裏方の仕組みにある
配信そのものは、スマートフォン一台でもできます。難しいのはその後です。注文が一度に集中したときの在庫管理、国ごとに違う決済手段への対応、関税や配送の手配、問い合わせの処理。ここで失敗すると、せっかくの盛り上がりが悪い評判に変わります。
AnyMind Groupは、複数の国と地域で、商品の仕入れから発送までを支える仕組みを持っています。Metaが持つのは、数十億人規模の利用者と、広告の配信網です。つまり今回の提携は、集客の側と、受注後の運営の側をつなぐ組み合わせと読めます。
独自の視点:勝敗を分けるのは配信者ではなく、台本と数字の管理
ライブコマースは人気者に頼る手法と思われがちです。しかし継続して成果を出す企業は、配信を「番組」ではなく「売り場」として管理しています。どの商品を、何分目に、どんな言葉で紹介したか。そのとき購入ボタンを押した人は何人か。こうした数字を毎回見直し、台本に反映します。
広告運用で培った分析の技術は、ここで生きます。AnyMind Groupのような広告とEC運営の両方を持つ会社が有利なのは、この点です。配信後に広告で見込み客を呼び戻す流れまで、一つの画面で追えるからです。
追い風だけでなく、避けて通れない課題もある
課題は三つあります。第一に、プラットフォームへの依存です。規約や手数料が変われば、収益構造は一夜で変わります。第二に、国ごとの広告表示や景品表示のルールの違いです。生配信は言い直しがきかないため、誇大な表現が問題になりやすい面があります。第三に、配信疲れです。似た内容の配信が増えれば、視聴者の関心は急に冷めます。
過去にも、動画アプリ上の買い物機能が大きく期待されながら、定着せずに縮小した例があります。今回も、提携を発表した時点で成功が決まったわけではありません。実際の購入率と返品率が、半年後の評価を決めるでしょう。
ビジネスへの影響
越境販売を考える中小企業は、小さく試せる環境が整う
これまで海外向けのライブ販売は、現地の配信者との契約、決済、配送を自社で組み立てる必要があり、中小企業には重い負担でした。支援会社が窓口になれば、少ない商品数と短い配信時間から試すことができます。まずは月に一、二回、三十分ほどの配信で、反応を見る進め方が現実的です。
試す際は、売上だけでなく三つの数字を記録してください。視聴した人数、購入ボタンを押した人数、返品の割合です。この三つが見えれば、続けるか止めるかを根拠を持って決められます。
発注先を選ぶときは、配信後の運営まで確認する
支援会社を選ぶ際は、配信の演出が上手かどうかより、受注後の対応範囲を見てください。在庫の引き当て、多言語での問い合わせ対応、返品の受け付け、現地通貨での決済まで任せられるかが重要です。契約前に、繁忙期に注文が十倍になった場合の対応方法を具体的に聞いておくと安心です。
また、顧客データの持ち主がどちらになるのかも確認が必要です。購入者の情報を自社で活用できない契約だと、次回以降の販売で不利になります。
国内の事業者も、自社の販売導線を見直すきっかけにする
海外に出ない企業にとっても、示唆はあります。商品を知ってから購入するまでの画面移動を数えてみてください。三回以上あるなら、離脱が起きている可能性が高いでしょう。SNSの投稿から購入画面へ直接つなぐだけでも、成果が変わることがあります。